森の窓
2018年07月02日
若い頃からレイモンド・チャンドラーの、作品中の主人公の言葉「強くなければ生きてはいけない、優しくなければ生きていく資格が
ない」と言うセリフを、かなり好きで心の隅に置いていました。なかなか強くも優しくもならないのですが、自分に必要なことだと思
っていました。しかし、様々な事を少し考えて見ると、私の強さや優しさはごく限定的なものです。それはベトナム戦争後のポートピ
ューピルの問題や今日のアラブ諸国からの難民などに、全く答えられないものです。江戸時代も脱藩は大変な事だったようですが、近
代国家以降パスポートの無い存在は、生きる場所さえ無いのが現実なのです。私は列島人として、せいぜいカンパ募金をする程度なの
です。
ふと若い頃の、軽くて重たいものを思い出し、時代の背景は変わっても今も余り変わらない部分もあるのではと思い、紹介したいと思
いました。三田誠広さんの「僕って何」です。私たちの日々の根拠は、それほどあてにはならず、個々が気がつかないうちに、流され
ていくのが、生でもあると思います。
(小形烈/記)