森の窓

森の窓

vol.15

2017年10月23日

 今まで、どちらかと言うと、若い人たちに、読書の勧めのように書いてきましたが、今回は、おじさんに紹介したい本が有ります。

 

赤瀬川原平さんの「老人力」です。彼の多才な才能は、列島の現代人の中では特筆ものだと、常々思っています。その極めつけの一つ

 

が「老人力」の発見です。フランスの女性哲学者ボーボワールは「老いとは喪失の過程」と書いてますが、赤瀬川原平さんは「老人力

 

の獲得」と従来の思想を転回しました。様々な喪失に焦ったり、認めたがらないおじさんやおばさんに、新視点を提案した見事な思想

 

だと思います。

 

列島人も捨てたものではないなと、感心しました。人は必ず老いそして死ぬものです。そうでない人間のあり方は恐ろしく恐怖でもあ

 

ります。小林秀雄は「陸沈」と言う言葉を使っています。都会の片隅に静かに生きる老人が良いと思っています。存在するとは時間の

 

流れの中にあることです。

 

(小形烈/記)

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