森の窓

森の窓

vol.37

2018年08月27日

 小説の分野で読者を感動させ、また、深い共感を共にするには、ある意味で悲劇を綴ることなのだと思います。物語として淡々とした

 

日常を綴っていても、その背後に傷や悲しみなどが感じることが、必要なのです。列島人の多くは漱石の悲劇に共感した人々でもあり

 

ます。大戦後は太宰治、三島由紀夫、大江健三郎とそれぞれの悲劇が読まれました。しかし昨今は、悲劇というよりも、悲しみや寂し

 

さに近くなっているように思います。谷川俊太郎さんの詩で。

 

悲しみはむきかけのリンゴ

比喩ではなく

詩ではなく

ただそこにある

むきかけのリンゴ

 

と、言葉がありますが、(素晴らしい言葉の感性)。レ・ミゼラブルよりは悲しみの共感性の時代なのかもしれません。

 

(小形烈/記)