森の窓
2018年05月21日
歳を重ねるとは、ある意味で様々なことがらを、運命のようなものとして受け入れる準備が出来てくることでもあると思います。ほと
んどの人にとって、思い通りとか、期待通りとかに、ならないのが生活であり人生でもあるのだと思います。ヒロシ(芸人)が言うよ
うに、他人は全て外野でもあります。
社会や他社に対して熱い思いや深い願いが、疎遠でうざい感じが最近の私たちを囲む空気のように思えます。そう考えてみると、カミ
ュの「異邦人」を思い出しました。読み返してみましたところ、村上春樹さんの「1Q84」を想像することができます。この「1Q
84」が発売になった時は、発売日、前日の夕方に本屋で見つけ喜び勇んで購入したものでした。その後にオーエルの「1984」も
読んでみましたが、今になって読むべきものは「異邦人」だったんだと思います。「異邦人」は青少年の時の読書で内容をよく覚えて
いなかったのですが、第二次大戦後のヨーロッパ思想のモードとしての「実存主義思想の時代」に大きな指示(支持)を受けた物語で
す。短く読みやすく、戦後のフランスの空気が少しだけ感じられます。サルトはノーベル賞受賞を辞退しましたがカミュは受賞しまし
た。
(小形烈/記)