森の窓
2017年07月17日
若く静謐で、なを激しく燃える人たちのお話が続いたので、おじさんの心の底で黒く燃える火を紹介します。
列島の人として、彼なりの美意識を持ち続け、戦後の日本で充分な評価を受けた川端康成さんです。
この小説は彼にとって書いて良かったのか、書かない方が良かったのかわかりませんが、なかなかの小説だと思います。
彼は、70歳を過ぎて自殺します。理由は不明です。その為、憶測が生じ「お手伝いさんに恋をしたため」という文章も出ました。家族
は名誉棄損で訴えましたが、私は文学者にそんな名誉など無いと思います。
前置きが長くなりました「眠れる美女」という小説です。川端康成さんの作品かと疑われるものですが、高齢者の心理を巧みに書いて
いると思います。フロイトはリピドーという概念を提出しましたが、私はその提案に基づいて、リピドーは生きる力と理解していま
す。ついでに、なを、老人に興味を持った方は、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」もおすすめします。昭和文学の代表者の2人です。
(小形烈/記)