森の窓
2017年08月14日
もう一人現代女性作家を紹介します。吉本ばななさんです。彼女のお父さんは戦後の日本思想の代表的思想家吉本隆明さんです。
吉本隆明さんに対する私の意見は、「彼のことを悪くいう人は信用に値しない」です。その思想は特別なものであり、西欧から見た
「月の裏側」とも言えるアジアの端から世界を見据える視線を持った、ある意味で正否の枠を超えた、列島人に生のありかを問うたも
のでした。なにしろフランスの思想家ボードリヤールと来日時に対談し、彼に「絶望が足りない」と言い放った人です。
そのお父さんのもとで育った吉本ばななさんが、幸せ者なのか苦労人なのかはわかりませんが、作家として一流の人であることは事実
だと思います。やはり彼女が最初に世に出たというべき作品「キッチン」を紹介します。当時の若者から極めて高い支持を受けた作品
だと思います。私も若者の感性に感心したひとりでした。
(小形烈/記)